迷想シャクソン 002 ナチュラルバーチャルリアリティ
「ううう、このVRサングラスは目が疲れる」
「ブッダ様、今はもう、そのようなゴーグルは不要でござります。
世界すべてがバーチャルリアリティになっておりますので
目に見える風景は現実と寸分変わりませぬ」
「ずいぶん便利な時代になったのですね
僕が眠りについた2020年の頃は、もっと不便な時代でした」
「私くしは最初からこの世界で生まれましたでございますから
他の世界がどうだったのかは存じませぬ」
「じゃあ、僕があの頃の様子を教えてあげますよ」
咲き乱れるラベンダーの香りによって、ブッダの頭には記憶が蘇ってきた。